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第9話 

番外

佑斗は脱獄を助けた。

正確に言えば、柚月が精神異常の診断を申請し精神病院に送られたのち、三日目に佑斗に連れ去られた。

行き先は廃墟と化した工場だった。

床一面に広がる血痕を見て、柚月は怯えだした。

「佑斗、な、何をするつもりなの......?」

佑斗は黒い服に身を包み、手に持ったナイフを静かに拭きながら低い声で言った。

「晴子が受けた苦しみを、お前も一つずつ味わってもらう」

「まずは、指の爪からだ」

維人が逮捕された際、彼は私への虐待の全容を供述した。

それを聞き佑斗は、晴子がどれほどの恐怖に震え、どれほどの痛みを耐えていたか、初めて知ったのだ。

佑斗は長い間考え抜いた末、この復讐方法を思いついた。

彼は柚月の指の爪を一枚一枚剥がした。

柚月は泣き叫び、恐怖と苦痛で身震いし、臭い尿の匂いに包まれた。

その後、佑斗は彼女の全身の骨を折り、顔を切り刻み、一刀ずつ肉を裂いていった。

そして、最後には腹を裂き、中身を取り出した。

柚月はすでに息絶えていた。

骨が折られた時点で耐えられなくなっていたのだ。

だが、晴子は最後まで耐え抜き、彼の到着を待っていた。

しかし、佑斗は彼女に何と言ったのだろう?

「死んでしまえばちょうどいい」と。

「晴子、見ているか?お前の仇を討ったぞ」

だが、佑斗自身もまた、共犯者であったのだ。

中野グループの株価は暴落し、会社の株主たちは彼への不満を表明し、社長の座から彼を解任した。

彼は今、すべてを失った。

柚月を葬り去ることが、彼が生きている間の最後の行いであった。

半月後、廃工場で一人の女性の遺体が発見された。

まさにそれは柚月であり、その遺体の壊死具合は以前の事件と酷似しており、とても残虐な方法で殺害されていた。

同時に、その工場内には一つの腐敗した男性の遺体もあった。

彼は自らの心臓を生きたまま取り出し、出血多量で絶命していたのだ。

真雪は去る前にこう言い放っていた。

「佑斗、あなたには心がない。少しでも心があったなら、晴子をこんな目に遭わせなかったはずよ。だから、あなたの心があるなら、黒いのか赤いのか、その手で掘り出して確かめなさい」

佑斗は死の直前、笑みを浮かべていた。

「晴子、俺の心は赤いんだ。俺はお前を愛していたんだよ」

遠く離れた場所でこの訃報を聞いた真雪は
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